車検を取った直後にトラブルが起きたときに「なぜ?」と思う人は多いかもしれません。車検というのは法律で定められた基本的な部分をチェックするもの。国産車とは違って、輸入車には定期的に交換すべき細かな消耗品がたくさんあります。車検はこれらのメンテナンス状況や構造的な劣化状況を確認するものではないのです。だから、費用を優先して車検だけをクリアしたところで、クルマのコンディションが万全かというと、そうとは言い切れないのも事実なんです。そこでこの記事では、車検時に実施しておきたいメンテナンスとして3回に分けて紹介していきます。
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目次
車検をクリアしてもクルマのコンディションが万全というわけではない理由
国産車であれば、車検時に行なわれる基本的なチェックと整備だけで2年間ノントラブルということもあるが、輸入車ではさらに消耗品の数が増えてくるので、これらを車検時にメンテナンスしておくことでその後2年の信頼性を高めることにも繋がるのである。車検時に行なうメンテナンスこそ、愛車のコンディションを高める絶好のチャンスと言ってもいい。
日本における車検は、ディーラーや馴染みの修理工場にお任せというのが普通だった。検査項目だけではなく各部の劣化状況も含めて整備してくれるので、トラブルが発生しやすい部分を先回りしてメンテナンスすることでトラブルを予防できたのである。しかしながら昨今においては、規制緩和により表面的な安さを売りにした車検代行サービスなどが誕生。これらは費用を重視した車検をクリアするためだけのサービスなので、ディーラーや信頼できる工場での安心整備が付いた車検とは全く違う。このあたりは勘違いしている人が多いので、その内容はしっかりと把握しておく必要がある。
車検は消耗品を交換する絶好のタイミング
では、車検時に手を入れておきたいメンテナンスポイントを紹介していこう。まずはエンジン回りの点火系から見ていくと、プラグやハイテンションコード、古めのクルマではディスビキャップやローターなどを見ておく必要がある。ディスビキャップに備わるOリングが劣化すると、そこから湿気が入り込み、エンジン不調に陥ることもある。点火系の不具合はアイドリング不調になったり、加速不良の原因になるので注意が必要だ。すでに何らかの症状が出ている場合には、先回りしてメンテナンスしておけば路上でのトラブルを防ぐことに繋がる。
ベルトのヒビ割れはよくある症状だが、車検ではチェックされない部分。切れてしまうと走行不能になってしまうので、やはりこの機会に点検しておくべき部分だ。テンショナーも消耗品なので同時に見ておくこと。アイドラプーリーも消耗により劣化しやすい。ガタなどがないか、その車種に詳しいメカニックにチェックしてもらおう。
エンジンオイルやフィルターは交換サイクルのタイミングで換えればいいが、冷却水は意外に放置されやすい。冷却水は単なる水ではなく、消泡剤やサビ止め剤などが添加されており、長期的に使用することによってその性能は低下していく。2年に1回は純正品に交換しておくことがベストであり、水回りパーツの寿命を延ばすことにも繋がる。また、古めのクルマではLLCのサブタンクに亀裂が入り、そこから水漏れを起こして走行不能になるケースも。亀裂は内側から徐々に広がっていくこともあるので、過去の交換履歴が分からなかったり、明らかに劣化が見られる場合には予防整備しておくと安心だ。ちなみにここも車検ではチェックされない部分である。
そのほか、水回りではウォーターポンプやサーモスタットは定番のポイントだ。水漏れを起こしたり、ポンプのインペラ部分の不良、サーモスタットに備わる弁の開閉不良などが起きやすいので、交換履歴が分からなければメンテしておくべきだ。
オイル漏れも気になるところ。とくにタペットカバーパッキンからの漏れは多く発生しており、漏れたオイルが高温になったエキゾーストマニホールドに付着すると煙が発生したり、プラグホールにオイルが溜まってしまうとエンジン不調の原因になる。最近多いのがオイルフィルターハウジングからの漏れで、車種によって装着場所は異なるもののドイツ車では多発している。ここから漏れたオイルがベルトに付着してしまうと、急激に寿命が低下しトラブルの原因になる。高価なオルタネータに付着することでトラブルが発生し、エンジンが始動できなくなることもあるので早めに対処しておくことが重要だ。
燃料系の不具合は路上ストップに直結しやすい部分。とくに燃料ポンプはトラブルが多いポイントなので、交換履歴が分からなければ思い切って新品にしておくと安心感はグッと高まる。フィルターも同時に換えておくといいだろう。古めのクルマではホースから燃料が漏れることもあるので、これは即修理しておくこと。
(VOL2に続く)
今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!
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